観測型FAQ研究
子どもが声に出して読む練習を重ねると、読む速さや理解の成績が変わったと報告されていますか?
- 回答の要約
- 読みが苦手な子どもを対象にした研究では、報告があります。読みが苦手な2・4年生が大人の前で声に出して読む練習を14週間した実験では、対照群より流暢さと読解の伸びが大きかったと報告されています。学習障害のある小学生への流暢さの介入をまとめた合成研究でも、くり返し読む練習などで流暢さと理解の伸びが報告されています。一方、同じ文をくり返すか続けて新しい文を読むかでは、有意な差は報告されませんでした。合成研究の多くは標本が小さく集団実験が少ないとされています。読みに困っていない子どもや、家庭で一人で音読した場合の結果は、この確認の範囲では分かりません。
苦手な2・4年生の実験では、声に出して読む練習で流暢さと理解が伸びたと報告されています
読みが苦手な2年生と4年生(学習障害あり17人、なし20人)を、くり返し読む条件、続けて新しい文を読む条件、対照群に無作為に分けた実験は、大人の聞き手の前で15分を週3回・14週間、声に出して読む練習をした群が、対照群より読む流暢さと読解の伸びが有意に大きかったと報告しています。同じ文をくり返す条件と続けて新しい文を読む条件のあいだには、有意な差は報告されなかったとしています。
学習障害のある小学生への介入をまとめた研究でも、流暢さと理解の伸びが報告されています
2001〜2014年の19研究を整理した合成研究は、幼稚園〜小学5年生で学習障害のある子どもへの流暢さの介入について、くり返し読む練習、複数の要素を組み合わせた介入、音声付きの本での補助付き読み(録音を聞きながら子どもが文を読む方法)で、流暢さと理解の伸びが報告されたとしています。流暢な読みの見本やフィードバック、やさしい文、達成の基準、仲間とのくり返し読みなども寄与したとし、くり返し読む練習で、ほかの介入より伸びが大きく報告されたとまとめています。ただし、標本が小さい研究が多く、集団実験は3本だけで、標準化された測り方が少ないとしています。
結果の分かれ方と、まだ分からない範囲があります
練習の並べ方(同じ文をくり返すか、続けて新しい文を読むか)では、有意な差は報告されなかった実験があります。合成研究の対象は学習障害のある子どもで、読みに困っていない子どもへの一般化は抄録から判断できません。練習の多くは聞き手や見本がある条件で、家庭で一人で音読した場合とは違います。日本の子どもを対象と明記した研究も、この確認の範囲では見つかりませんでした。
この回答が参照した研究
研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。
| 研究 | 標本 | この問いでの用い方 |
|---|---|---|
| 苦手な2・4年生が大人の前で声に出して読む練習をすると、流暢さと理解が対照群より伸びたRollanda E. O'Connor、Anne White、H. Lee Swanson(2007) | 読みが苦手な2年生と4年生。学習障害あり17人、なし20人。くり返し読む条件、続けて新しい文を読む条件、対照群のいずれかに無作為に分けた | 苦手な2・4年生が大人の前で声に出して読む練習をし、対照群より流暢さと理解が伸びた実験 |
| 学習障害のある小学生への流暢さの介入をまとめると、くり返し読む練習などで流暢さと理解の伸びが報告されたElizabeth A. Stevens、Melodee A. Walker、Sharon Vaughn(2017) | 2001〜2014年の研究から、幼稚園〜小学5年生で学習障害のある子どもの読む流暢さと理解を調べた19研究を整理した合成研究 | 学習障害のある小学生への流暢さ介入19研究で、くり返し読む練習などの伸びをまとめた合成研究 |
この回答で分からないこと
- 限界
- ここで紹介した研究の多くは、読みが苦手な子どもや学習障害のある子どもを対象にしています。読みに困っていない子どもや、家庭で一人で音読した場合の結果は、確認した抄録には報告されていません。練習には聞き手や見本が付くことが多く、音読そのものだけの効果を分けられない研究もあります。日本の子どもを対象と明記した研究はありません。この確認は研究の抄録の範囲で、個々の子どもに合う練習の仕方を判定しません。
- 出典の層
- 一次資料を確認した研究2件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。
関連する読みもの
- 2年 国語「音読の くふう」声の大きさや速さなどの音読のくふうを扱う単元です。この単元の動画や問いの効果を、ここで紹介した研究が確かめたわけではありません。
- 3年 国語「詩を 音読しよう」詩を声に出して読む単元です。流暢さの練習そのものではありません。この単元の動画や問いの効果を、ここで紹介した研究が確かめたわけではありません。
- 学び方の研究ノート:思い出す・間をあける・まぜて解く・手で書く・動画・学習スタイル・ほめ方・睡眠・音読思い出す練習、間をあけた復習、種類をまぜた練習、手で書くか打つか、動画で学ぶこと、学習スタイル、ほめ方、学んだあとの睡眠、子ども自身の音読の9つについて、研究で確かめられていることと、まだ確かめられていないことを分けて読みます。関連するエレメンタリーの教材も紹介しますが、その効果をこれらの研究が確かめたものではありません。
- 研究検証台帳標本・報告・限界・一次資料を研究ごとに確認できます。
- 観測型FAQの一覧テーマごとの問いと回答の要約を一覧で読みます。