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論点別コラム学び方の研究

学び方の研究ノート:思い出す・間をあける・まぜて解く・手で書く・動画・学習スタイル

「小テストで覚えるとよい」「復習は間をあけて」「問題はまぜて解く」「手で書くと覚える」「動画で学べる」「目で覚える子・耳で覚える子がいる」。どれもよく聞く話ですが、研究で確かめられている度合いはそれぞれ違います。ここでは、一次資料の抄録を確認した42本の研究をもとに、何が観測されているかを6つの問いに分けて整理します。エレメンタリーの動画やプリントの作りも並べますが、その効果をこれらの研究が確かめたものではありません。研究の結論をそのまま家庭の勉強法の答えにするものではありません。

6つは別の問いです

「思い出す練習は読み返しより覚えているか」「間をあけた復習は続けて繰り返すより覚えているか」は、どちらも覚えたことがどれだけ残るかの問いで、研究が多くあります。「種類のちがう問題をまぜて練習するとあとのテストで解けるか」は練習の並べ方の問いで、「手で書くか打つかで身につき方が変わるか」は道具の問いです。「動画で学ぶと成績が上がるか」は教材の形の問いで、今回確認した系統的レビューは大学生が対象です。「好みの学び方に合わせると学べるか」は教え方を子どもごとに変える価値の問いで、確かめる形の実験がほとんどないと整理されています。同じ「学び方の研究」でも、問いによって、研究の対象や確かめられている範囲が違います。

思い出す練習は、時間がたってからの成績で差が報告されています

学んだあとに読み返すより、小テストなどで思い出す練習をしたほうが、数日後のテストの成績が高かったという報告は、学生の実験、メタ分析、学校や教室の実験をまとめた系統的レビューでそろっています。ただし、学んだ直後のテストでは読み返しが上回った実験もあります。小学生でも、3年生で7日後の正答率が87%と53%だった実験など、思い出す練習の側が高かった報告があります。一方、選ぶテストでは差がなかった実験や、手がかりなしで思い出させるとほとんど思い出せなかった実験もあり、子どもの場合は思い出し方の支え方で結果が分かれます。練習していない応用の問題まで伸びるかは結果が分かれ、小学生の研究は見つかりませんでした。

間をあけた復習は、同じ方向の報告がそろっています

続けて繰り返すより間をあけて繰り返すほうが長く覚えていたという報告は、300を超える実験のメタ分析と、数百の研究をまとめた解説でそろっています。今回確認した小学生の研究は1本で、5年生の英単語の教室での実験で、1週間あけた学習のほうが5週間後の成績がよかったと報告されています。いちばん成績がよかった間隔は、どれくらい先まで覚えておきたいかで変わったと報告されていて、「1日後・1週間後・1か月後」のような決まった予定がいちばんよいという結果は、この確認の範囲では見つかりませんでした。

種類をまぜた練習は、算数・数学で報告があり、材料で結果が分かれます

続く2問が同じ解き方にならないように並べた練習は、米国の7年生(中学校の段階)の数学54クラスの試験で、1か月後の正答率が61%と38%だったと報告されています。子どもの算数の実験でも、練習中の出来は下がった一方で翌日のテストの得点が約2倍になり、ドイツの小学3年生のひき算の実験では、解き方を問題に合わせて使い分ける力が高かったと報告されています。一方、59研究のメタ分析では、効果は絵画などの見て分ける材料で大きく、算数・数学では小さく、単語ではまとめた練習の側が上回っていました。まぜた練習は同じ解き方の間もあくため、間をあける効果とのそれぞれの寄与が抄録から判断できない研究もあります。

手で書くか打つかは、講義ノートの研究で結果が分かれています

学生の3研究ではパソコンでノートを取った側が考え方を問う問題で低い成績だった一方、そのうち研究1を同じ手続きでくり返した追試では、パソコンの側が上回ることはなかったものの、手書きが情報の取り込みをよくして直後の学習を高めるという考えは支持されませんでした。大学生の24研究のメタ分析では、手書きのノートを取って見直した側が少し高い成績(g = 0.248)でした。子どもの研究として確認できたのは、幼稚園の子どもが8つの文字を学んだ1つの実験で、単語を書く課題では手書きの練習が上回りました。ここで紹介した研究に、小学生・中学生を対象と明記したノートの比較はありません。

動画の効果は、子どもについてはまだ分かりません

大学生の試験105本をまとめた系統的レビューは、授業に動画を加えると成績が大きく上がったと報告していますが、今回確認した小学生の研究は途上国の事業評価1本で、日本の小学生の研究は見つかりませんでした。図に声で説明を添えるのがよいかは、メタ分析では支持された一方、再分析では効果の推定値が小さくなり、小学校最高学年の子どもが自分のペースで進めた実験では声の利点が見られませんでした。画面を長く見るほど学力が上がるという報告は見つからず、テレビやコンピュータを長く使っていた子の成績が低いという関連の報告があります。

学習スタイルに合わせる教え方の利点は、支持されていません

子どもの好む学び方に合わせて教えると学べるという考えは、確かめる形の実験がほとんどないと整理されており、小学5年生でその形の実験を行った研究でも、好みと理解度の間に意味のある関係は見つかりませんでした。一方で、18か国の教育者の研究をまとめると、合わせる指導が有効だと信じている人は加重平均で89.1%でした。研究で支持されていない考えが、広く信じられている例です。

エレメンタリーの作りは、ここで紹介した研究で効果を確かめたものではありません

単元ページの下の「やってみよう」は、動画のあとで答える問いで、答えを開くと確かめられます。見た動画には「見た」しるしが付き、途中まで見た単元は場面の頭から「つづき」を見られます。動画は図・声・字幕を一緒に出し、子どもの型を分けていません。どれも、ここで紹介した研究が効果を確かめた作りではなく、研究の比較の条件とも同じではありません。エレメンタリーの教材でどのような見方・答え方をしたときに理解が進むかは、これから個人を特定しない利用の記録をもとに確かめていきます。

参照した研究の標本と報告

同じ論点を扱っていても、研究が調べた対象と報告の範囲は違います。標本と報告を並べて読みます。

研究 標本 報告 限界
テストを受けることが長期の記憶を高める(テスト強化学習)Henry L. Roediger、Jeffrey D. Karpicke(2006) 学生(学年・人数は抄録に記載なし。2つの実験) 文章を読んだあと、自由再生テストを受けた学生と、同じ回数だけ読み直した学生を比べた。5分後の最終テストでは読み直しが上回ったが、2日後・1週間後の最終テストではテストを受けた群の記憶が大きく上回ったと報告している。 対象は学生で、課題は文章の自由再生であり、小学生や応用問題への一般化は抄録からは言えない。
テストの使い方を見直す:練習テストのメタ分析Olusola O. Adesope、Dominic A. Trevisan、Narayankripa Sundararajan(2017) 抄録に記載なし(メタ分析。研究数・人数は抄録に記載なし) 練習テストと、読み返しなどテストをしない条件を比べた研究をメタ分析し、練習テストのほうが読み返しやその他の比較条件より学習に有益だったと報告している。 抄録には効果量の数値がなく、効果はテストの形式・参加者・研究の特徴などで変わるとされるため、条件を問わず同じ大きさとは言えない。
テストと読み返しを比べた記憶の保持:テスト効果のメタ分析Christopher A. Rowland(2014) 抄録に記載なし(メタ分析。研究数・人数は抄録に記載なし) テストと読み返し(再学習)を比べた研究をメタ分析で整理した。思い出す負担の大きい最初のテストのほうが、再認テストより効果が大きいと報告している。 抄録には効果量の数値がなく、対象の年齢も書かれていないため、小学生への当てはまりは抄録からは言えない。
学習者の学びを高める効果的な学習法:認知・教育心理学から見えてきた有望な方向John Dunlosky、Katherine A. Rawson、Elizabeth J. Marsh、Mitchell J. Nathan、Daniel T. Willingham(2013) 抄録に記載なし(10の学習法の文献レビュー) 10の学習法を比べて有用性を評価し、練習テストと分散学習は、年齢や能力の異なる学習者に効果があり、多様な課題や教育現場でも成績を上げるとして高い評価とした。一方、読み返しは成績を一貫して上げず、練習テストを代わりに使うよう勧めている。 文献レビューであり、抄録に効果量の数値や標本数はなく、個々の研究の条件で効果は異なる。
思い出す練習は学習を一貫して助ける:学校・教室での応用研究の系統的レビューPooja K. Agarwal、Ludmila D. Nunes、Janell R. Blunt(2021) 教室での50の実験(効果量49件、合計5,374人)。学年別の内訳は抄録に記載なし 学校・教室で行われた50の実験を整理し、57%で中程度以上の効果があったと報告している。校種・教科・最終テストの形式などが異なっても効果が見られたとしている。 中程度以上の効果があったのは57%の実験で、非WEIRD圏の実験は6%にとどまるため、すべての条件で同じ効果とは言えない。
小学3年生におけるテスト強化学習Antônio Jaeger、Raquel Eloísa Eisenkraemer、Lílian Milnitsky Stein(2015) 小学3年生(人数は抄録に記載なし。1つの実験) 短い百科事典の文章を2回読んだあと、ヒントつきの再生テストを受けた子どもと、もう2回読み直した子どもを比べた。7日後の4択テストの正答率は、テストを受けた群が87%、読み直した群が53%だったと報告している。 1つの実験で、読み直した群との比較であり、文章の内容を問う4択テストの結果なので、応用問題への一般化は抄録からは言えない。
小学生における思い出す練習の良い効果Jeffrey D. Karpicke、Janell R. Blunt、Megan A. Smith(2016) 子ども88人(平均年齢10歳。3つの実験) 単語のリストを学んだあと、読み直した子どもと、思い出す練習をした子どもを比べた。3つの実験すべてで、思い出す練習をした群の成績が高いと報告している。効果は読解力や処理速度の個人差に左右されなかったとしている。 単語リストという課題で、教科書の文章や応用問題での結果ではなく、抄録は予備的な証拠だと述べている。
小学生の事実の学習は、思い出す練習(マインドマップの有無を問わず)で高まるStephanie J. Ritchie、Sergio Della Sala、Robert D. McIntosh(2013) 小学生(8〜12歳)。2つの実験、人数は抄録に記載なし 地理の事実を学んだ子どもで、思い出す練習の有無とマインドマップの有無を組み合わせて比べた。思い出す練習をした群は、4日後(実験1)、1週間後と5週間後(実験2)で多くの事実を再生したと報告している。マインドマップの一貫した効果は見られなかった。 課題は新しい地理の事実の再生で、応用問題や他教科への一般化は抄録からは言えない。
小学校の語彙学習で、思い出す練習は丁寧な読み直しより効果があるかNicole A. M. C. Goossens、Gino Camp、Peter P. J. L. Verkoeijen、Huib K. Tabbers、Rolf A. Zwaan(2014) 9歳の子ども(人数は抄録に記載なし。2つの実験) 語の定義を学び、読み直す群・関連づけながら読み直す群・語を思い出す群を比べた。1週間後の穴埋めテストでは思い出す群が他の群を上回ったが、多肢選択テストでは差がなかったと報告している。 テストの形式によって差が出る・出ないが分かれており、著者は実践上の価値と効果の大きさに不確かさがあるとしている。
思い出す練習を小学生に使うには、手助けつきの思い出しが要るJeffrey D. Karpicke、Janell R. Blunt、Megan A. Smith、Stephanie S. Karpicke(2014) 小学生(教室での活動。人数・学年は抄録に記載なし。3つの実験) 大学生で効く方法を小学生に当てはめた。何も見ずに文章を自由に思い出させると、思い出せたのは約10%で、読み直しても伸びはほとんどなかった。一方、問いを地図の形で並べた手助けつきの思い出しは、繰り返し読むより学習を高めたと報告している。 手助けのない自由再生では効果が見られず、小学生では思い出し方の支え方によって結果が分かれる。
テスト強化学習の転移:メタ分析と総合Steven C. Pan、Timothy C. Rickard(2018) 122の実験・67本の論文、合計10,382人(年齢・学年の内訳は抄録に記載なし) 練習テストで学んだことが別の形式の問題などへ転移するかをメタ分析し、読み直し等の対照より転移の効果があった(d = 0.40)と報告している。転移は応用問題・推論問題では大きく、学んだ順番を並べ替えた問題や、例題を使う問題では小さい。 効果はテスト形式や元のテストの成績などの条件で大きく変わり、出版バイアスを調整すると条件によっては転移が見られなくなる場合があるとされる。
中学理科の小テスト:授業の試験での転移の成功Mark A. McDaniel、Ruthann C. Thomas、Pooja K. Agarwal、Kathleen B. McDermott、Henry L. Roediger(2013) 中学校の理科の授業(人数は抄録に記載なし。2つの実験) 間隔をあけた3回の多肢選択の小テストを受けた単元では、授業の試験で小テストと同じ問題でも、同じ内容を別の形で問う転移問題でも、大きな効果量の成績向上があったと報告している。実験2では、応用の問いで練習すると定義の問いにも別の応用の問いにも効いたが、定義の問いで練習しても応用の問いには効かなかった。 対象は中学生で小学生ではない。小テストを間隔をあけて繰り返す手続きと一緒の効果で、練習の内容によって転移の有無が分かれた。
思い出す練習は演繹的な推論には転移しないRobert Tran、Doug Rohrer、Harold Pashler(2015) 参加者(年齢・人数は抄録に記載なし。4つの実験) 前提の文を学び、読み直す群と穴埋めテストで復習する群を比べた。前提の再生はテスト群が上回ったが、推論の多肢選択問題の成績は、思い出す練習で高まらなかったと報告している。 対象は子どもではなく、演繹的推論という限られた課題の結果であり、他の応用問題で効果が出る研究とは結果が分かれている。
言葉を思い出す課題における分散練習:レビューと定量的な統合Nicholas J. Cepeda、Harold Pashler、Edward Vul、John T. Wixted、Doug Rohrer(2006) 184本の論文に含まれる317の実験(839件の評価)を統合したメタ分析。対象者の年齢などは抄録に記載なし 言葉を思い出す課題での分散練習の研究を統合し、学習の間隔と、最後のテストまでの期間(保持期間)が合わさって成績に影響し、最も覚えていられる学習間隔は保持期間が長いほど長くなったと報告した。 言葉を思い出す課題の研究が中心で、抄録からは子どもや学校の学習に当てはまるかは分からない。
学習における間隔効果:最も長く覚えていられる間隔の「尾根」Nicholas J. Cepeda、Edward Vul、Doug Rohrer、John T. Wixted、Harold Pashler(2008) 1,350人を超える人(年齢などは抄録に記載なし) 事実を教えたあと、最大3.5か月あけて復習し、さらに最大1年後にテストした。最後のテストまでの期間が同じなら、復習までの間隔を広げると成績はまず上がり、その後ゆるやかに下がった。成績が最もよい間隔は、テストまでの期間が長いほど長くなったが、最初の学習から復習までの間隔を、復習から最後のテストまでの期間に対する割合で見ると、1週間後のテストで約20〜40%、1年後のテストで約5〜10%へ小さくなったと報告した。 抄録に記載された範囲では、教えた内容は事実で、対象の年齢や学校での実施かどうかは分からない。
実際の教室での語彙学習における間隔効果Hailey S. Sobel、Nicholas J. Cepeda、Irina V. Kapler(2011) 5年生の子ども39人(実際の教室) 知らない英単語を、続けて学ぶ方法と1週間あけて学ぶ方法で教え、5週間後に思い出すテストをした。1週間あけた学習のほうが、続けて学ぶより長期の成績がよかったと報告した。 英単語の学習で、比べたのは続けて学ぶ方法と1週間あけた方法の2つだけで、ほかの間隔や教科は抄録からは分からない。
テストを使って中学2年生の米国史の記憶を保たせるShana K. Carpenter、Harold Pashler、Nicholas J. Cepeda(2009) 8年生(日本の中学2年生にあたる)の生徒。人数は抄録に記載なし 米国史の事実を、1週間後、16週間後、または復習なしの条件にし、復習を再学習かテスト(答えの確認つき)で行った。9か月後のテストで、テストで復習した事実は再学習より成績がよく、復習なしの約2倍で、いちばんよかったのは16週間後にテストで復習した事実だったと報告した。 比べた復習のタイミングは1週間後と16週間後の2つで、続けて学ぶ方法との比較ではなく、成績の差は床効果のため数値上は小さかったと著者は述べている。
間隔をあけた反復は効率よく効果的な学習を促すSean H. K. Kang(2016) 特定の対象者はなく、認知心理学・教育心理学の多数の研究をまとめた政策向けの解説(抄録に人数の記載なし) 学習の繰り返しを時間をあけて行うと、続けて繰り返すより長期の学習成績がよいことが数百の研究で示されてきたとまとめ、テストを組み合わせるとさらに効果が増し、記憶・問題解決・新しい場面への応用で効果があるとした。 新しい実験ではなく解説論文で、抄録は学校での導入の障壁にも触れているが、具体的な間隔の数値は示していない。
間隔をあけた思い出し練習:合計の間隔が大きいほどよく、間隔の広げ方は関係しなかったJeffrey D. Karpicke、Andrew Bauernschmidt(2011) 実験の参加者。人数・年齢は抄録に記載なし 全項目を思い出せるまで学んだあと、3回の思い出しテストをいろいろな間隔の組み方で行った。テストの間隔の合計が長いほど長期の記憶がよく、間隔なしと比べて200%の向上があった。一方、広げていく・等しい・縮めていく、のどの組み方も他より優れる証拠はなかったと報告した。 1回の実験で、テストの回数は3回、課題や対象は抄録に記載された範囲に限られる。
長期にわたる思い出し練習:間隔は広げていくのか、等しくするのかSean H. K. Kang、Robert V. Lindsey、Michael C. Mozer、Harold Pashler(2014) 外国語の語彙を学ぶ参加者。人数・年齢は抄録に記載なし 外国語の語彙を4週間にわたって練習し、日数を広げていく間隔と等しい間隔を比べた。訓練の8週間後の最終テストの成績は両者で同等で、訓練期間中に思い出せる度合いの平均は広げる間隔のほうがかなり高かったと報告した。 外国語の語彙の1つの実験で、最終テストで差がなかった点と、訓練中の平均の思い出しやすさで差があった点が分かれている。
動画は大学での学びを高める(系統的レビュー)Michael Noetel、Shantell Griffith、Oscar Delaney、Taren Sanders、Philip Parker、Borja del Pozo Cruz、Chris Lonsdale(2021) 大学生を対象にした無作為化試験105本、合計7,776人(抄録のとおり) 動画で既存の教え方を置き換えると学習はわずかに向上し(g = 0.28)、既存の授業に動画を加えると大きな向上が報告された(g = 0.80)。動画が学習を妨げることはまずないと結論している。 対象は大学生で小学生には当てはまらず、抄録自身も実験の偏りと出版の偏りの可能性に触れている。
テレビを使った模範授業は成績を上げるか(パプアニューギニアの公立小学校)Satoshi Shimizutani、Shimpei Taguchi、Hiroyuki Yamada(2023) パプアニューギニアの公立小学校(学校数・人数は抄録に記載なし。小学校最終学年の全国試験の成績を使用) テレビを使った模範授業の事業を導入した学校で、導入の3年後に女子の英語の成績が有意に上がったと報告された。男子には向上が見られなかった。 途上国の公立小学校での事業評価であり、効果は教科と性別で分かれ、数値は抄録に記載なく、日本の教室に一般化できない。
モダリティ効果のメタ分析(図は目で、説明は耳で)Paul Ginns(2005) 43の独立した効果(対象者の年齢・人数は抄録に記載なし) 図などの視覚情報に、文字ではなく音声で説明を添えると学習によいという仮説が、このメタ分析で支持されたと報告された。特に機械がペースを決める提示で効果が強く出た。 実験の多くは短い教材を使うもので、抄録は音声教材の制作費との兼ね合いも考えるべきだとしており、効果の大きさは条件で分かれる。
モダリティ効果は存在するのか、存在するならどんな効果かJoachim Reinwein(2011) 独立した86の効果(対象者の年齢・人数は抄録に記載なし) ギンズ(2005)のメタ分析を86の効果で再分析したところ、全体の効果量はd = 0.38とほぼ半分になり、出版の偏りを補正するとd = 0.20まで下がったと報告された。理論でも説明できず別の説明が要ると結論している。 効果が小さくなることを示す再分析であって、効果がないとは言っておらず、対象者の抄録の記載もない。
子どもが自分のペースで進める教材でのモダリティ効果の検証Marijke J. Witteman、Eliane Segers(2010) 小学校の最高学年の子ども80人(年齢は確認した頁に記載なし)。2条件(絵と音声、絵と文字)に無作為に割り当て 子どもが自分のペースで進める学習では、絵と音声が絵と文字より良いという通常のモダリティ効果は見られず、直後の記憶課題などでは逆に文字のほうが良かったと報告された。 1つの教材・1つの学年での実験で、自分のペースで進める条件の結果であり、先生や機械がペースを決める場面には当てはまらない可能性がある。
子ども・青年の画面メディア利用と学業成績の関連(系統的レビューとメタ分析)Mireia Adelantado-Renau、Diego Moliner-Urdiales、Iván Cavero-Redondo、Maria Reyes Beltran-Valls、Vicente Martínez-Vizcaíno、Celia Álvarez-Bueno(2019) 4〜18歳の横断研究58本(計480,479人、23か国)。うちメタ分析は30本、106,653人 画面メディア全体の利用時間と学業成績に関連は見られなかったが(ES = -0.29、95%CI -0.65〜0.08)、テレビの視聴(総合成績 ES = -0.19)とテレビゲーム(総合成績 ES = -0.15)は成績の低さと関連したと報告された。 含まれる研究はすべて横断研究で、関連であって原因は分からず、見ている内容(学習用か娯楽か)の区別は抄録に記載なし。
小学生後半の電子メディア利用と学業成績(追跡研究)Lisa K. Mundy、Louise D. Canterford、Monsurul Hoq、Tim Olds、Margarita Moreno-Betancur、Susan Margaret Sawyer、Silja K. Kosola、George C. Patton(2020) オーストラリア・メルボルンの子ども1,239人(8〜9歳から10〜11歳まで追跡) 全国学力テストの得点で、8〜9歳のときの成績をそろえたうえで、テレビを1日2時間超見ていた子は10〜11歳の読みの得点が12点低く(1年の学びの約3分の1にあたるとしている)、コンピュータを1日1時間超使っていた子は算数の得点が12点低かったと報告された。テレビゲームでは関連が見られなかった。 観察研究で、見ている内容(学習用か娯楽か)の区別は抄録に記載なく、関連であって原因は断定できない。
学習スタイル:考え方と根拠Harold Pashler、Mark McDaniel、Doug Rohrer、Robert Bjork(2008) 文献レビュー(対象者・人数なし。幼稚園から大学院までの学習スタイル研究を検討) 「その子の学習スタイルに教え方を合わせると最もよく学べる」と確かめるには、学習スタイル別の群をさらに無作為に異なる指導法へ分け、同じ最終テストを受けさせて、スタイルと指導法の交互作用を示す実験が要ると整理した。そのような実験はほとんどなく、あっても合わせる仮説に反する結果が出たものがあり、学習スタイル診断を一般の教育に取り入れる十分な根拠はないと結論した。 方法の整った研究が少ないため「あらゆる形の学習スタイルが否定された」とは言えず、著者らも適切な研究のさらなる実施は有益な場合があるとしている。
学習スタイルの好みに合わせた指導は学びを高めないBeth A. Rogowsky、Barbara M. Calhoun、Paula Tallal(2020) 小学5年生(人数は抄録に記載なし) 成人で行った2015年の研究と同じ設計を学齢期の子どもに適用した初めての研究。合わせると学べるかを確かめる形(2015年の成人の研究と同じ設計)で、聴覚型か視覚型かという好みと理解度の間に有意な関係は見つからず、視覚型の5年生のほうが聴覚型より聞く・読む両方の理解度の測定で高かった。 対象は小学5年生で、聴覚型と視覚型の二分と聞く・読む理解度に限った結果であり、他の学年や教科、体を動かす学び方などには及ばない。
学習スタイルと指導方法を合わせる効果:理解度への影響Beth A. Rogowsky、Barbara M. Calhoun、Paula Tallal(2015) 大学教育を受けた成人(人数は抄録に記載なし) 聴覚型・視覚型の好みを調べたうえで、同じ本を音声版か電子テキスト版のどちらかで無作為に学ばせ、直後と2週間後に理解度を測った。好みの型と、聞く・読む力や、指導法(音声か文字か)による学びとの間に有意な関係は見られず、「合わせると学べる」という仮説は統計的に支持されなかった。 対象は大学教育を受けた成人で、見たのは聴覚型と視覚型の二分と音声・文字の2形式に限られ、子どもにはそのまま当てはまらない。
学習スタイルの俗説を信じる人はどれだけいるか、それは問題か:実用的な系統的レビューPhilip M. Newton、Atharva Salvi(2020) 18か国の教育者計15,405人を扱った37研究(2009年から2020年初めまでの発表) 学習スタイルに合わせた指導が有効だという自己申告の信念は、加重平均で89.1%(研究により58〜97.6%)と高く、近年減っている証拠はなかった。合わせた指導を使っている・使う予定という自己申告も同じように高かった。根拠がないことを説明する研修のあとでは、信じる回答が下がった(抄録の表現では平均37%の低下)。 含まれた研究の多くは便宜的な標本で小規模、質の指標も十分に報告されておらず、回答者が「合わせる指導」について尋ねられたと理解したかも不明で、指導での使用は自己申告で、授業を観察したものではない。
俗説を払う:教育や神経科学の訓練は脳の俗説を信じる率を下げるが、なくしはしないKelly Macdonald、Laura Germine、Alida Anderson、Joanna Christodoulou、Lauren M. McGrath(2017) 米国の教育者598人、神経科学に詳しい人234人、一般の人3,045人(オンライン調査) 脳の俗説の平均支持率は一般の人68%、教育者56%、神経科学に詳しい人46%だった。どの集団でも最も多く支持された俗説は、学習スタイルと読み書き障害に関するものだった。 米国のオンライン調査で自発的な回答者の結果であり、日本の教師や保護者にそのまま当てはまるかは分からない。
教育における脳の俗説:教師の誤解の広がりと予測因子Sanne Dekker、Nikki C. Lee、Paul Howard-Jones、Jelle Jolles(2012) 英国とオランダの小中学校教師242人(脳科学と学習に関心のある教師) 脳と学習に関する32の記述(うち15が俗説)に答えるオンライン調査で、教師は俗説の平均49%を信じており、とくに市販の教育プログラムに関わる俗説で多かった。脳についての一般知識が多いほど俗説も信じやすい傾向があった。 英国とオランダの関心の高い教師242人の結果で、この抄録からは学習スタイルの項目だけの割合は分からず、日本の教師には当てはまるか分からない。
高等教育で学習スタイルの神話が盛んなことPhilip M. Newton(2015) 研究論文の検索(ERIC と PubMed に載った近年の学習スタイル関連論文。件数は抄録に記載なし) 学習スタイルが高等教育で使われることを、近年の論文の89%が暗黙または明示的に支持していたと報告した。教育者が文献を調べても、現場での使用が研究で支持されていると誤解しかねない状況だと論じた。 教師や学生の信念を直接尋ねたのではなく論文の傾向を見た視点論文で、対象も高等教育であり、小学校の現場の信念は分からない。
数学のまぜた練習のランダム化比較試験Doug Rohrer、Robert F. Dedrick、Marissa K. Hartwig、Chi-Ngai Cheung(2020) 7年生(中学校の段階)の数学の54クラス(人数は抄録に記載なし。実施地はERICの記録の地域欄で米国フロリダ州) 事前登録したクラス単位のランダム化比較試験。4か月にわたり、続く2問が同じ解き方にならないように並べた課題か、同じ解き方の問題をまとめた課題をときどき解き、そのあと両方の群がまぜた復習の課題を解いた。1か月後の予告なしのテストで、まぜた群の正答率は61%、まとめた群は38%(効果量 d = 0.83)だったと報告している。先生は研修なしで実施でき、結果を知る前の匿名の調査でこの練習を支持したとしている。 中学生の数学の1つの試験で、著者自身が重要な注意点が残るとしている。まぜた課題は同じ解き方の練習の間もあくため、まぜることと間をあけることの効果は抄録からは分けられない。
まぜて練習することの効果Kelli Taylor、Doug Rohrer(2010) 子ども(学年・人数は抄録に記載なし。1つの実験) 4種類の算数の問題を、種類をまぜた順か、同じ種類をまとめた順で練習させ、間をあける度合いはそろえて比べた。まぜた順の練習は練習中の出来を下げた一方、1日後のテストの得点は約2倍になったと報告している。誤りの分析から、問題ごとに合う解き方を選べるようになったことによる差だと示唆している。 1つの実験で、人数は抄録に記載がない。報告は1日後のテストの結果で、テストの出題範囲や、長い期間・練習していない応用の問題への効果は抄録からは判断できない。
小学校算数でのまぜた学習:ひき算の解き方を柔軟に使い分けることへの効果Lea Nemeth、Katharina Werker、Julia Arend、Sebastian Vogel、Frank Lipowsky(2019) ドイツの小学3年生236人(まぜて学ぶ群とまとめて学ぶ群に無作為に割り当て。14回の授業からなる単元) 3けたのひき算の、数の特徴を使った工夫した計算・分けて計算する方法・筆算を、まぜて学ぶ群と順に学ぶ群を比べた。まぜて学んだ群は工夫した計算を多く使い、分けて計算する方法と筆算は少なく使い、工夫した計算と筆算を問題に合わせて使う力が高かったと報告している。抄録は、算数の課題をまぜる効果についてのこれまでの結果は一貫していないとも述べている。 まぜた群には解き方どうしを比べる声かけ、まとめた群には1つの解き方が合う場面を考える声かけをしており、まぜることだけの効果とは分けられない。測ったのは解き方の使い分けで、算数の成績全体や文章題への効果は抄録からは分からない。
似ていることが効く:まぜて学ぶ効果とその条件のメタ分析Matthias Brunmair、Tobias Richter(2019) 59の研究(158の標本、238の効果量)をまとめたメタ分析(対象者の年齢の内訳は抄録に記載なし) まぜて示すほうが、まとめて示すより学習の成績が高いという効果は、全体で中程度(Hedges の g = 0.42)だった。絵画(g = 0.67)などの見て分ける材料で最も大きく、算数・数学の課題では小さく(g = 0.34)、説明文と味では全体として有意ではなく、単語ではまとめて示す側が上回った(g = −0.39)と報告している。種類どうしが似ている材料、同じ種類の中のちがいが大きい材料、複雑な材料ほど効果が大きかったとしている。 主に、例から種類を見分けることを学ぶ課題(帰納的な学習)をまとめた分析で、効果は材料によって向きまで変わる。子どもの研究だけの結果は抄録に記載がない。
ペンはキーボードより強し:手書きのノートがパソコンのノートより優れる点Pam A. Mueller、Daniel M. Oppenheimer(2014) 学生(3つの研究。人数は抄録に記載なし) パソコンをノートを取ることだけに使った場合でも、パソコンでノートを取った学生は、手書きでノートを取った学生より、考え方を問う問題の成績が低かったと報告している。ノートを多く取ることは役に立つ一方、パソコンでは講義をそのまま書き写しがちで、自分の言葉に言い換えないことが学習を妨げているとしている。 学生を対象にした実験で、人数は抄録に記載がない。2018年に訂正(Erratum)が出ている。研究1を同じ手続きでくり返した追試では、パソコンの側が手書きの側を上回ることはなかったが、手書きが情報の取り込みをよくして直後の学習を高めるという考えは支持されなかった。
まだパソコンを手放さないで:Mueller と Oppenheimer(2014)研究1の直接の追試と、似た研究の小さなメタ分析Heather L. Urry、Chelsea S. Crittle、Victoria A. Floerke、Michael Z. Leonard、Clinton S. Perry(2021) 講義を見ながらパソコンでノートを取った参加者74人と、手書きで取った68人(年齢は抄録に記載なし。ほかに似た8研究の探索的なメタ分析) もとの研究と同じく、パソコンの側はノートの語数が多く、講義の言葉をそのまま写した部分も多かった。しかし、直後の小テストでパソコンの側が手書きの側を上回ることはなく、似た8研究の探索的なメタ分析も同じ傾向だったと報告している。手書きのノートが情報の取り込みをよくすることで直後の学習を高めるという考えは、結果から支持されないとまとめている。 直後の小テストだけを見た追試で、ノートを見直してからのテストや、時間がたってからの成績は扱っていない。参加者の年齢は抄録に記載がない。
打った講義ノートと手書きの講義ノートと大学生の成績:メタ分析Abraham E. Flanigan、Jordan Wheeler、Tiphaine Colliot、Junrong Lu、Kenneth A. Kiewra(2024) 大学生を対象にした21論文・24の研究(実験と準実験)をまとめたメタ分析 手書きでノートを取り、それを見直した側のほうが成績が高かった(Hedges の g = 0.248)一方、ノートの量は打った側が多かった(g = 0.919)と報告している。著者は、手書きのノートのほうが勉強と記憶に役立ち、成績を高めるとまとめている。 大学生の講義ノートの研究だけをまとめたもので、子どもには当てはめられない。効果量は小さめで、直後の小テストを見た別の追試では、手書きが情報の取り込みをよくして直後の学習を高めるという考えは支持されなかった。
手書きか、キーボードか:ペンとキーボードの書く練習が幼児の読み書きに与える影響Markus Kiefer、Stefanie Schuler、Carmen Mayer、Natalie M. Trumpp、Katrin Hille、Steffi Sachse(2015) ドイツの幼稚園に通う子ども(人数は抄録に記載なし。16回の練習) ドイツ語の8つの文字を、紙にペンで書く練習か、コンピュータのキーボードで打つ練習で、内容をそろえた文字遊びとして学ばせた。文字を見分ける・名前を言う・書くなどのどの課題でも、打つ練習が上回ることはなく、単語を書く課題では手書きの練習が上回り、単語を読む課題でも手書きの側が上回る傾向だったと報告している。 小学校入学前の子どもが8つの文字を学んだ1つの研究で、人数は抄録に記載がない。文字を見分ける・名前を言う課題では、手書きの側が上回ったとは抄録に書かれていない。

一次資料と確認日は研究検証台帳の各ページに記載しています。

この論点に対応する問い

  1. 学んだあと、読み返すより、小テストなどで思い出すほうが、あとまで覚えていると報告されていますか?

    報告されています。読み返した人と、小テストなどで思い出す練習をした人を比べた実験とメタ分析では、数日後のテストで思い出す練習をした側の成績が高かったという報告がそろっています。ただし、学んだ直後のテストでは読み返した側が上回り、数日後には思い出す練習の側が上回った実験もあります。対象者の年齢が抄録に書かれていない研究も多く、効果の大きさは条件で変わります。

    研究

  2. 小学生を対象にした研究でも、読み直すより思い出す練習のほうが覚えていたと報告されていますか?

    報告されています。小学3年生や平均10歳の子どもの実験で、思い出す練習をした側の成績が高かったという報告があります。ただし、選択肢から選ぶテストでは差がなかった実験や、何の手がかりもなく思い出させるとほとんど思い出せなかった実験もあり、テストの形式と思い出し方の支え方で結果が分かれています。

    研究

  3. 思い出す練習をすると、練習していない応用の問題まで解けるようになると報告されていますか?

    結果が分かれています。研究をまとめたメタ分析は、応用問題や推論の問題への広がりがあったと報告しましたが、出版の偏りを補正すると条件によっては見られなくなるとしています。中学生の理科で広がりを報告した研究がある一方、推論の問題では伸びなかった研究もあります。小学生で応用問題への広がりを調べた研究は、この確認の範囲では見つかりませんでした。

    研究

  4. まとめて続けて繰り返すより、間をあけて繰り返すほうが、長く覚えていると報告されていますか?

    報告されています。300を超える実験をまとめたメタ分析や、数百の研究をまとめた解説で、間をあけた学習のほうが長く覚えていたという報告がそろっています。小学5年生の英単語の教室での実験でも、1週間あけて学んだほうが5週間後の成績がよかったと報告されています。ただし、今回確認した小学生の研究はこの1本で、課題は単語や事実を覚えるものが中心です。

    研究

  5. 復習までの間隔は、どれくらい先まで覚えておきたいかによって、よい長さが変わると報告されていますか?

    変わると報告されています。最後のテストまでの期間が長いほど、いちばん成績がよかった復習までの間隔も長くなったという結果が、メタ分析と1,350人を超える人の実験の両方で報告されています。最初の学習から復習までの間隔を、復習から最後のテストまでの期間に対する割合で見ると、1週間後のテストで約20〜40%、1年後のテストで約5〜10%でした。どちらも対象者の年齢は抄録に書かれていません。

    研究

  6. 「1日後・1週間後・1か月後」のように、復習の間隔をだんだん広げる決まった予定がいちばんよいと示されていますか?

    この確認の範囲では示されていません。この具体的な日程を、ほかの日程と直接比べた研究は、今回確認した中にはありませんでした。間隔を広げていく組み方と等しい組み方を比べた実験では、あとのテストでどちらかが優れるという結果は報告されていません。3回の思い出しテストを行った実験では、間隔の広げ方より、間をあけた合計の長さが成績と関わっていました。ただし、練習している間の思い出しやすさは広げる組み方のほうが高かったという報告もあります。

    研究

  7. 種類のちがう問題をまぜて練習すると、同じ種類をまとめて練習するより、あとのテストの成績が高かったと報告されていますか?

    算数・数学では報告があります。7年生(中学校の段階)の数学54クラスの試験では、1か月後のテストの正答率が、まぜた側で61%、まとめた側で38%でした。子どもの算数の実験でも、翌日のテストの得点が約2倍だった報告があります。ただし、練習の最中はまぜた側の出来が下がり、59研究のメタ分析では効果が学ぶ材料で分かれ、単語ではまとめた側が上回っていました。

    研究

  8. 手で書いて学ぶのと、キーボードで打って学ぶのとで、学んだことの身につき方に差があると報告されていますか?

    結果は分かれています。学生の3研究では、パソコンでノートを取った側が考え方を問う問題で低い成績でした。そのうち研究1の追試では、パソコンの側が上回ることはなかったものの、手書きが情報の取り込みをよくして直後の学習を高めるという考えは支持されませんでした。大学生の24研究のメタ分析は、手書きのノートを取って見直した側の成績が少し高かった(g = 0.248)としています。幼稚園の子どもの実験では、単語を書く課題で手書きの練習の側が上回りました。ここで紹介した研究に、小学生を対象と明記した比較はありません。

    研究

  9. 動画を授業に加えたり、授業の代わりに使ったりすると、成績が上がると報告されていますか?

    大学生では報告されています。大学生の無作為化試験105本をまとめた系統的レビューは、動画で置き換えるとわずかに、授業に動画を加えると大きく成績が上がったと報告しました。今回確認した小学生の研究は、途上国の公立小学校で女子の英語に向上が報告された事業の評価1本で、小学生一般に当てはまるとは言えません。

    研究

  10. 図に文字で説明を添えるより、声で説明を添えるほうが、理解が進むと報告されていますか?

    結果が分かれています。研究をまとめたメタ分析は、声で添えるほうがよいと報告しましたが、同じ研究を増やして再分析すると効果はほぼ半分になり、出版の偏りを補正するとさらに小さくなりました。小学校の最高学年の子どもが自分のペースで進める実験では、声の利点は見られず、文字のほうがよかった課題もありました。効果は、だれが進む速さを決めるかで変わると報告されています。

    研究

  11. 子どもが画面(テレビや動画、コンピュータ)を見る時間の長さと学力には、どんな関連が報告されていますか?

    今回確認した2本の研究では、長く見るほど成績が高いという結果は示されていません。4〜18歳の研究をまとめたメタ分析では、画面の利用時間全体と成績に関連は見られず、テレビの視聴とテレビゲームは成績の低さと関連していました。小学生を2年間追った研究では、テレビやコンピュータを長く使っていた子の、2年後の全国学力テストの読みや算数の得点が低かったと報告されています。どちらも関連の報告で、原因は分かりません。

    研究

  12. 「目で覚える子」「耳で覚える子」のように、子どもの好む学び方に合わせて教えると、成績が上がると示されていますか?

    今回確認した研究では、好みに教え方を合わせる利点は支持されていません。学び方の好みに合わせると学べるという考えを確かめるのに必要な形の実験はほとんどなく、あっても合わせる考えに反する結果があったとするレビューがあります。小学5年生でその形の実験を行った研究でも、聞く型・見る型の好みと理解度の間に意味のある関係は見つかりませんでした。ただし調べられたのは、主に「目」と「耳」の二分と、読む・聞く理解です。

    研究

  13. 学び方の好みに合わせて教えるとよいという考えを、多くの先生が信じていると報告されていますか?

    報告されています。18か国の教育者15,405人を扱った37の研究をまとめた系統的レビューでは、合わせる指導が有効だと信じている人の割合は加重平均で89.1%で、近年減っている証拠はありませんでした。米国の調査でも、学習スタイルは教育者を含むどの集団でも最も多く信じられた脳の俗説の一つでした。日本の先生や保護者の調査は、この確認の範囲では見つかりませんでした。

    研究

この整理で分からないこと

限界
この整理は、一次資料の抄録を確認した42本の研究の範囲で、論文の本文までは確かめていない研究もあります。小学生・中学生・大人の研究と、対象者の年齢が抄録から分からない研究が含まれ、紹介する研究には、日本の小学生を対象と明記した研究はありません。実験、追跡などの観察研究、レビュー、調査が含まれ、結論として言える範囲は研究の方法によって違います。研究の結論は、個々の子どもにどの勉強の仕方が合うかを判定するものではありません。エレメンタリーの作りと研究の対応は、作りの考え方を説明するもので、エレメンタリーの教材の効果を示すものではありません。