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観測型FAQ研究

「頭がいいね」と能力をほめるのと、「がんばったね」と努力をほめるのとで、子どものその後の取り組み方や成績に差があったと報告されていますか?

回答の要約
結果は分かれています。小学5年生を対象にした6つの研究では、知能をほめられた子どものほうが、努力をほめられた子どもより、失敗のあとの粘り強さや課題の成績が低かったと報告されています。一方、中国の9〜13歳の子どもを対象にした一連の研究のうち、もとの研究の手続きを再現した研究では、意欲などの8つの測り方のどれとも関連が見られませんでした。実験はどれもその場の課題でほめ方を変えたもので、日々のほめ方と学校の成績との関係は、確認した抄録には報告されていません。

小学5年生の6つの研究では、能力をほめられた側が失敗のあとに粘りにくかったと報告されています

小学5年生を対象にした6つの研究は、知能(頭のよさ)をほめられた子どもが、努力をほめられた子どもより、学ぶことより出来ばえを示すことを目標に選びやすく、そのあとの失敗では、課題を続ける粘り強さと楽しさが低く、失敗を能力の低さのせいにしやすく、課題の成績も低かったと報告しています。知能をほめられた子どもは、知能を変わらないものと説明しやすかったとしています。人数と国は抄録に書かれていません。

5年生103人の実験では、能力ほめで伸びが小さく、努力ほめにも別の反応が見られました

小学5年生103人を、能力をほめる・努力をほめる・ほめない、の3つの条件に無作為に分けた実験は、能力をほめられた子どもが、そのあとの失敗を能力以外のせいにしやすく、失敗に備えた言い訳を口にすることや、実際に取り組みを減らすことが多く、成績の伸びが有意に小さかったと報告しています。ただし、努力をほめられた子どもも、ほめられなかった子どもと比べると、言い訳を口にすることや、自分を守る形で失敗を説明することが多かったとしています。努力をほめることも、ほめないことと比べた場合には、よい面だけが報告されたわけではありません。

もとの手続きを再現した中国の研究では、差はほとんど見られませんでした

中国の9〜13歳の子ども計624人を対象にした一連の研究は、研究1でもとの研究の手続きを再現し、能力は伸びるという考え方をうながす条件が、失敗のあとの中程度の難しさのテストの成績と関連した(p = .049)一方、もとの研究が使った8つの意欲と原因の考え方の測り方のどれとも関連しなかったと報告しています。比べる条件をそろえた続く2つの研究では、中程度の課題でも難しい課題でも効果が見られず、子ども自身の考え方と学期を通した成績との関連も支持されませんでした。難しい課題で、予想と逆の向きの関連が1つ報告されています。

家庭でのほめ方を追った研究は、意欲の持ち方との関連を報告しています

親子53組の家庭で、子どもが生後14〜38か月のときに親が自然に口にしたほめ言葉を調べ、7〜8歳になったときの意欲の持ち方と照らし合わせた研究は、努力をほめることが多かった親の子どもほど、能力は伸びると考える意欲の持ち方をしやすかったと報告しています。一方、生まれつきの性質をほめることは、のちの「能力は変わらない」という持ち方とは関連しませんでした。家庭を観察した研究なので、ほめ方が原因かどうかは判断できません。

この回答が参照した研究

研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。

研究 標本 この問いでの用い方
知能をほめることは、子どもの意欲と成績を下げることがあるClaudia M. Mueller、Carol S. Dweck(1998) 小学5年生(6つの研究。人数は抄録に記載なし) 小学5年生の6研究で、能力をほめられた側が失敗のあとに粘り強さと成績が低かった報告
能力ほめと努力ほめが、子どもの失敗の受けとめ方・自分を守る言い訳・成績に与える影響Shufen Xing、Xin Gao、Ying Jiang、Marc Archer、Xia Liu(2018) 小学5年生103人(平均11.2歳。能力をほめる・努力をほめる・ほめない、の3つの条件に無作為に割り当て) 5年生103人で、能力ほめは伸びが小さく、努力ほめにも言い訳が増える面があった実験
基本の能力は変えられなくても、取り組むことで難しいことをやりとげる:能力は伸びるという考え方が、失敗への反応・学業成績・認知能力に果たす役割の検証Yue Li、Timothy C. Bates(2019) 中国の9〜13歳の子ども624人(いくつかの研究の合計) 中国の9〜13歳計624人の一連の研究で、もとの手続きを再現しても意欲などの測り方に差が見られなかった研究
1〜3歳の子どもへの親のほめ言葉が、5年後の子どもの意欲の持ち方を予測するElizabeth A. Gunderson、Sarah J. Gripshover、Carissa Romero、Carol S. Dweck、Susan Goldin-Meadow、Susan C. Levine(2013) 親子53組(子どもが生後14〜38か月のときの家庭でのほめ言葉と、7〜8歳になったときの意欲の持ち方) 親子53組の観察で、幼いころの努力へのほめ言葉が7〜8歳の意欲の持ち方と関連した研究

この回答で分からないこと

限界
ここで紹介した実験は、どれもその場の課題でほめ方を変えたもので、毎日のほめ方の積み重ねや、学校の教科の成績への影響は、確認した抄録には報告されていません。対象は小学5年生と中国の9〜13歳などで、日本の子どもを対象と明記した研究は、この確認の範囲では見つかりませんでした。家庭のほめ言葉の研究は観察で、ほめ方が原因かどうかは判断できません。この確認は研究の抄録の範囲で、個々の子どもに合う声かけを判定しません。
出典の層
一次資料を確認した研究4件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。