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観測型FAQ研究

子どもの頃の引っ越しは、心の健康や行動面の問題と関連すると報告されていますか?

回答の要約
関連の報告はあります。1989〜2020年に発表された64研究のメタ分析は、子ども期の転居と健康の間に、さまざまな結果をまとめて小〜中程度の負の関連を報告し、その強さは結果の種類や転居の回数などで異なるとしています。英国の1地域の出生コホートでは、心の健康との関連の多くが子どもどうしの違いで説明された一方、同じ子どもの中では関連の一部が残りました。いずれも観察研究か、その統合で、日本の子どもへの当てはまりはこれらの研究では示されていません。

22研究の系統的レビューは、行動・情緒の問題などとの関連を挙げました

子ども期の転居と健康を扱った医学・社会科学の22研究を整理した系統的レビューは、行動・情緒の問題の多さ、思春期のうつ、医療の継続性の低下などが転居と関連していたと報告しています。質が低いと評価された研究ほど有意な結果を示しにくく、研究間の違いが大きいため数値の統合はできませんでした。

64研究のメタ分析では、小〜中程度の負の関連と交絡要因が報告されています

1989〜2020年に発表された64研究の844の効果量を統合したメタ分析は、子ども期の転居と健康の間に小〜中程度の負の関連があると報告しています。関連の強さは、結果の種類、測った年齢、転居した年齢、転居の回数で異なり、親の社会経済的地位、親の婚姻状態、同時に起きた子ども期の困難などが主な交絡要因でした。

英国のある地域の出生コホートでは、関連の多くは子どもどうしの違いで説明され、一部は残りました

英国の地域出生コホートの子どもを4・7・10・12歳で追った研究は、転居した子としなかった子の関連の多くが、子どもどうしのもともとの違いで説明されたと報告しています。それでも、同じ子どもの中で転居した時期の後に心の健康が悪くなる関連は残り、大きな生活上の出来事を考慮すると関連は弱まったものの、消えませんでした。転居への反応には子どもによる差が大きいとも述べています。

この回答が参照した研究

研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。

研究 標本 この問いでの用い方
子ども期の転居と健康:系統的レビューTimothy Jelleyman、Nick Spencer(2008) 子ども期の転居を説明変数とし、健康の結果を測った医学・社会科学の22研究 22研究の整理で行動・情緒の問題などとの関連を挙げた
子ども期の転居と健康:メタ分析Müge Simsek、Rafael Costa、Helga A.G. de Valk(2021) 1989〜2020年に発表された64研究の844の効果量 64研究の統合で小〜中程度の負の関連と交絡要因を報告
転居などの大きな出来事は心の健康にどう影響するか:英国の子どもの縦断分析Tim Morris、David Manley、Kate Northstone、Clive E. Sabel(2017) 英国の地域出生コホートの子どもについて、4・7・10・12歳で測った情緒・行動の問題の質問票(延べ18,699回分の観察) 子どもどうしの違いを分けても関連の一部が残った例

この回答で分からないこと

限界
いずれも観察研究か、その統合で、測っていない要因の影響を完全には除けません。メタ分析は親の社会経済的地位、婚姻状態、民族、同時に起きた子ども期の困難を主な交絡要因に挙げ、英国の研究では大きな生活上の出来事を考慮すると関連は弱まりましたが消えませんでした。64研究の統合は国や制度の違いを含む平均で、英国の研究は1地域の出生集団の結果です。転居の理由ごとの違いや、日本の子どもへの当てはまりは示していません。
出典の層
一次資料を確認した研究3件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。