観測型FAQ研究
図に文字で説明を添えるより、声で説明を添えるほうが、理解が進むと報告されていますか?
- 回答の要約
- 結果が分かれています。研究をまとめたメタ分析は、声で添えるほうがよいと報告しましたが、同じ研究を増やして再分析すると効果はほぼ半分になり、出版の偏りを補正するとさらに小さくなりました。小学校の最高学年の子どもが自分のペースで進める実験では、声の利点は見られず、文字のほうがよかった課題もありました。効果は、だれが進む速さを決めるかで変わると報告されています。
43の効果をまとめたメタ分析は、声で添えるほうがよいと報告しました
図などに、文字ではなく声で説明を添えると学習によいという考え(モダリティ効果)を調べた研究の43の効果をまとめたメタ分析は、その考えが支持されたと報告しています。とくに、機械が進む速さを決める提示で効果が強く出たとしています。
86の効果で再分析すると、効果はほぼ半分になり、補正するとさらに小さくなりました
同じテーマを86の効果で再分析した研究は、全体の効果の大きさがd = 0.38とほぼ半分になり、出版の偏りを補正するとd = 0.20まで下がったと報告しています。効果がないとは言っておらず、今の理論では説明しきれないとしています。
子どもが自分のペースで進めると、声の利点は見られなかったと報告されています
小学校の最高学年の子ども80人を、絵と声の教材と、絵と文字の教材に分けた実験は、子どもが自分のペースで進める学習では、絵と声のほうがよいという結果は見られず、直後に覚えているかを見る課題などでは、むしろ文字のほうがよかったと報告しています。
この回答が参照した研究
研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。
| 研究 | 標本 | この問いでの用い方 |
|---|---|---|
| モダリティ効果のメタ分析(図は目で、説明は耳で)Paul Ginns(2005) | 43の独立した効果(対象者の年齢・人数は抄録に記載なし) | 声で添えるほうがよく、機械が速さを決めるときに強いとしたメタ分析 |
| モダリティ効果は存在するのか、存在するならどんな効果かJoachim Reinwein(2011) | 独立した86の効果(対象者の年齢・人数は抄録に記載なし) | 86の効果で再分析し、効果がd = 0.38、補正でd = 0.20に下がったとした研究 |
| 子どもが自分のペースで進める教材でのモダリティ効果の検証Marijke J. Witteman、Eliane Segers(2010) | 小学校の最高学年の子ども80人(年齢は確認した頁に記載なし)。2条件(絵と音声、絵と文字)に無作為に割り当て | 小学校最高学年の80人が自分のペースで進めると、声の利点がなかった実験 |
この回答で分からないこと
- 限界
- メタ分析の抄録には対象者の年齢が書かれておらず、子どもの研究はこの確認の範囲では1本(80人、1つの教材)です。エレメンタリーの動画は、声と字幕の両方を出し、子どもが止めたり戻したりできる作りで、どちらの条件とも同じではありません。「声で説明する動画なら理解が進む」とは、この研究からは言えません。この確認は研究の抄録の範囲です。
- 出典の層
- 一次資料を確認した研究3件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。
関連する読みもの
- エレメンタリーの単元図解の動画に、声と字幕の両方を付けています。止めたい場面で止め、場面の一覧から見直せます。
- 学び方の研究ノート:思い出す・間をあける・まぜて解く・手で書く・動画・学習スタイル思い出す練習、間をあけた復習、種類をまぜた練習、手で書くか打つか、動画で学ぶこと、学習スタイルの6つについて、研究で確かめられていることと、まだ確かめられていないことを分けて読みます。関連するエレメンタリーの教材も紹介しますが、その効果をこれらの研究が確かめたものではありません。
- 研究検証台帳標本・報告・限界・一次資料を研究ごとに確認できます。
- 観測型FAQの一覧テーマごとの問いと回答の要約を一覧で読みます。