研究検証台帳
無料の医療は子どもの受診と健康を改善するか 未就学児の医療費助成からの証拠
Cheolmin Kang、Akira Kawamura、Haruko Noguchi(2022年)
書誌と確認の記録
- 資料の種別
- 著者版
- DOI
- 10.1016/j.jebo.2022.08.018
- 確認日
標本
1990年代に助成を導入・拡大した人口の比較的多い33市区町村の0〜6歳児について、議会の議事録から集めた助成状況と全国を代表する4つの個票データを結び付けたデータ
報告
助成は外来の利用(受診の間隔、再来患者数、月々の医療費)を増やし、入院全体の利用にはほとんど影響がなく、1歳未満で手術を受けた子どもでは在院日数が延びたと報告した。保護者が答える発熱やせきなどの症状は減ったが、医師が評価する退院時の転帰と死亡率の改善は全体では見られず、1歳未満に限って見られたと報告した。
限界
- 一般化できない範囲
- 都市部の自治体に限られ、助成の短期の影響を見たものである。内容は早稲田大学の作業論文版(2019年)で確認しており、2022年に学術誌へ掲載された版とは細部が異なる場合がある。
この研究を参照するページ
- 子ども医療費の窓口負担が0円になると、子どもの通院は増えると報告されていますか?確認した日本の研究では、増えるという報告で方向がそろっています。ただし同じデータや同じ研究グループによる結果を含み、独立に確かめた研究の数とは読めません。ちょうど0円になると、少額の負担が残る場合より受診が段差をもって増えたとする研究もあります。増え方の大きさは子どもの年齢、データの時期、比べた負担の差で異なり、どの自治体でも同じだけ増えるという予測にはなりません。
- 子ども医療費の助成が広がると、子どもの入院が減るなど、健康の改善が報告されていますか?確認した日本の研究では、入院全体の減少は確認されず、健康の改善は一部に限って報告されています。未就学児の主観的な健康との関連(学齢児では見られず)と、1990年代の都市部33市区町村の0〜6歳で保護者が答える症状の減少と1歳未満に限った転帰・死亡率の改善です。市区町村ごとに集計した入院件数の研究は、全体では有意な変化がなく、所得の低い地域で減り高い地域で増えたとしています。
- 通院の助成の対象年齢が高い自治体で育つと、大人になってからの健康がよくなると研究で示されていますか?今回確認した研究からは示されていません。確認できた日本の研究はどれも子ども時代の受診、入院、症状などを見たもので、同じ子どもを成人後まで追い、対象年齢が高い自治体で育ったことと大人になってからの健康を比べた研究は、そのなかにありませんでした。
- 子ども医療費助成で受診が増えることと、子どもが健康になることは別の問い子ども医療費の助成が広がったとき、受診、受診の中身、入院や健康、受診控え、親の負担について日本の研究が何を報告しているかを、研究ごとの対象と限界とあわせて整理します。
- 研究検証台帳の一覧登録済みの研究を標本・報告・一次資料で並べています。