観測型FAQ研究
不登校のきっかけについて、子ども本人と先生の回答は一致すると報告されていますか?
- 回答の要約
- 一致しない項目があると報告されています。4自治体の調査で、令和4年度の小学3年〜高校1年(中学3年を除く)のうち不登校として三者の回答を突き合わせた239名(保護者200名)では、学業の不振は回答が近かった一方、体調や不安、睡眠などの不調は本人と保護者の約7〜8割が挙げたのに対し、教師は2割弱でした。全国の代表標本での比較ではありません。
同じ子どもについて、教師・本人・保護者の回答を並べた調査があります
文部科学省の委託で行われた2024年の調査研究は、4つの教育委員会の協力を得て、令和4年度に小学3年〜高校1年(中学3年を除く)だった児童生徒19,005名、保護者12,140名、担任などの教師(児童生徒24,943名分)に質問紙で尋ねました。不登校のきっかけを三者で比べたのは、このうち教師が不登校と報告し、本人も年間30日以上の欠席と答えた239名(保護者は200名)です。学業の不振や宿題の提出は三者の回答割合が比較的近かった一方、いじめ被害、教職員への反抗・反発、教職員からの叱責などは、教師と本人・保護者で割合が違いました。体調不良、不安や抑うつ、睡眠や朝起きられないといった不調は、本人と保護者の約7〜8割が挙げたのに対し、教師の回答は2割弱でした。
集め方が異なる二つの経験者調査で、最も多かったきっかけは違っていました
小・中学校で不登校を経験した18〜59歳への文部科学省の調査(令和7年)では、休みはじめのきっかけとして、調査会社に登録してインターネット調査に答えた18,207人では友人との関係(いやがらせやいじめ)が47.5%、支援団体などを通じた321人では精神的不調が46.4%で最も多くなりました。ただしこの調査は教師の回答と同じ子どもで突き合わせたものではなく、本人が後から振り返った回答です。
この回答が参照した研究
研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。
| 研究 | 標本 | この問いでの用い方 |
|---|---|---|
| 文部科学省委託事業 不登校の要因分析に関する調査研究 報告書公益社団法人子どもの発達科学研究所、浜松医科大学子どものこころの発達研究センター(2024) | 協力した4教育委員会(大阪府吹田市・広島県府中市・宮崎県延岡市・山梨県)で、令和4年度に小学3年〜高校1年(中学3年を除く)だった児童生徒19,005名、保護者12,140名、担任教師等(児童生徒24,943名分)への質問紙調査。不登校の比較は、教師が不登校と報告し本人も年間30日以上の欠席と答えた239名(保護者は200名) | 同じ子どもについて教師・本人・保護者の回答を直接比べた調査 |
| 「不登校経験者等を対象とする調査」~不登校・いじめ対策等の効果的な活用の推進に向けた調査研究報告書~有限責任監査法人トーマツ(文部科学省委託)(2025) | 小・中学校で不登校を経験したと答えた18〜59歳。調査会社のパネルによるインターネット調査18,207人と、支援団体・自治体の協力によるオンライン調査321人(令和7年2〜3月)、ほかにインタビュー13人と支援団体4団体 | 経験者本人の振り返りで、教師の回答との突き合わせはない |
この回答で分からないこと
- 限界
- 教師・本人・保護者を直接比べたのは4自治体の1調査で、令和4年度の小学3年〜高校1年(中学3年を除く)のうち不登校として突き合わせた239名(保護者200名)の結果です。全国の傾向とは限らず、回答は後から振り返った自己申告を含みます。経験者調査は調査会社の登録者と支援団体・自治体経由の18〜59歳で、経験者全体の代表ではなく、数十年前の経験を含む振り返りです。どちらの回答が正しいかや、どのきっかけが不登校を引き起こしたかという因果関係は示されていません。
- 出典の層
- 一次資料を確認した研究2件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。
関連する読みもの
- フリースクール利用料補助は12都県と116市区町村で確認できましたフリースクール利用料の補助は全国一律ではなく、自治体ごとに実施しています。当サイトが確認できた12都県と116市区町村の制度をもとに、お住まいの地域の確かめ方をまとめます。
- 不登校35万人という数字と、子ども本人の声は分けて読む文部科学省の不登校の集計が数えている範囲と、教師・本人・保護者の回答を比べた調査が示した違いを、数字の出どころごとに整理します。
- 研究検証台帳標本・報告・限界・一次資料を研究ごとに確認できます。
- 観測型FAQの一覧テーマごとの問いと回答の要約を一覧で読みます。