観測型FAQ研究
「目で覚える子」「耳で覚える子」のように、子どもの好む学び方に合わせて教えると、成績が上がると示されていますか?
- 回答の要約
- 今回確認した研究では、好みに教え方を合わせる利点は支持されていません。学び方の好みに合わせると学べるという考えを確かめるのに必要な形の実験はほとんどなく、あっても合わせる考えに反する結果があったとするレビューがあります。小学5年生でその形の実験を行った研究でも、聞く型・見る型の好みと理解度の間に意味のある関係は見つかりませんでした。ただし調べられたのは、主に「目」と「耳」の二分と、読む・聞く理解です。
合わせると学べるかを確かめる形の実験は、ほとんどなかったと整理されています
幼稚園から大学院までの学習スタイルの研究を検討した文献レビューは、「その子の学び方に教え方を合わせると、いちばんよく学べる」と確かめるには、学び方の好み別の子どもを、さらにくじで別々の教え方に分け、同じテストで比べる実験が要ると整理しました。そのような実験はほとんどなく、あっても合わせる考えに反する結果が出たものがあったとして、学習スタイルの診断を一般の教育に取り入れる十分な根拠はないと結論しています。
小学5年生で同じ形の実験をしても、好みと理解度の間に関係は見つかりませんでした
合わせると学べるかを確かめる形(大人の研究と同じ設計)で、聞く型・見る型の好みを調べた小学5年生の研究は、好みと理解度の間に意味のある関係を見つけられなかったと報告しています。見る学び方を好む子のほうが、聞く学び方を好む子より、聞く・読むの両方の理解度が高かったとしています。
大人で同じ形の実験をした研究も、合わせる考えを支持しませんでした
大学教育を受けた大人に同じ形の実験を行った研究も、好みの型と、音声と文字のどちらで学んだかの組み合わせで理解度が変わるという結果は得られず、合わせると学べるという考えは支持されなかったと報告しています。
この回答が参照した研究
研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。
| 研究 | 標本 | この問いでの用い方 |
|---|---|---|
| 学習スタイル:考え方と根拠Harold Pashler、Mark McDaniel、Doug Rohrer、Robert Bjork(2008) | 文献レビュー(対象者・人数なし。幼稚園から大学院までの学習スタイル研究を検討) | 合わせると学べるかを確かめる形の実験はほとんどないと整理した文献レビュー |
| 学習スタイルの好みに合わせた指導は学びを高めないBeth A. Rogowsky、Barbara M. Calhoun、Paula Tallal(2020) | 小学5年生(人数は抄録に記載なし) | 小学5年生で、好みと理解度の間に関係が見つからなかった実験 |
| 学習スタイルと指導方法を合わせる効果:理解度への影響Beth A. Rogowsky、Barbara M. Calhoun、Paula Tallal(2015) | 大学教育を受けた成人(人数は抄録に記載なし) | 大人で同じ形の実験を行い、合わせる考えを支持しなかった研究 |
この回答で分からないこと
- 限界
- 「支持されていない」は、この確認で読んだ研究の範囲での判断です。調べられたのは主に、聞く型と見る型の二分と、読む・聞く理解度です。体を動かす学び方など、ほかの分け方は確かめられていません。小学生の研究は5年生の1本で、人数は抄録に書かれていません。子どもに得意・不得意や好みの違いがあること自体を否定するものではありません。
- 出典の層
- 一次資料を確認した研究3件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。
関連する読みもの
- エレメンタリーの単元エレメンタリーの動画は、子どもの型を分けず、図・声・字幕を一緒に出しています。この出し方の効果を、ここで紹介した研究が確かめたわけではありません。
- 学び方の研究ノート:思い出す・間をあける・まぜて解く・手で書く・動画・学習スタイル思い出す練習、間をあけた復習、種類をまぜた練習、手で書くか打つか、動画で学ぶこと、学習スタイルの6つについて、研究で確かめられていることと、まだ確かめられていないことを分けて読みます。関連するエレメンタリーの教材も紹介しますが、その効果をこれらの研究が確かめたものではありません。
- 研究検証台帳標本・報告・限界・一次資料を研究ごとに確認できます。
- 観測型FAQの一覧テーマごとの問いと回答の要約を一覧で読みます。