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観測型FAQ研究

学んだあとに眠ると、同じ時間起きていた場合より、学んだことをよく覚えていたと報告されていますか?

回答の要約
言葉などを覚える課題では、子どもの実験で報告があります。9〜12歳27人の実験では、覚えている量が増えたのは睡眠をはさんだあとだけで、10〜14歳40人の実験では、眠った側の正答数が20.6%多かったと報告されています。ただし、手の動きの技能の課題では、6〜8歳の子どもは眠った側の伸びが小さかったという報告もあります。これらの実験の多くは、眠る条件は夜に、起きている条件は朝に学ぶため、学ぶ時刻の違いも含まれます。同じ夜のうちで学ぶ時刻だけを変えた研究や、学校の成績を調べた研究は、この確認の範囲では見つかりませんでした。

9〜12歳27人の実験では、覚えている量が増えたのは眠ったあとだけでした

9〜12歳の子ども27人が、夜に言葉の組を覚えて翌朝と夕方にテストする条件と、朝に覚えて夕方と翌朝にテストする条件の両方に参加した実験は、どちらの条件でも、覚えている量が有意に増えたのは睡眠をはさんだあとだけで、昼間に起きていたあいだには増えなかったと報告しています。睡眠が学んだ直後でも、昼間に起きていたあとでも、同じように見られたとしています。

10〜14歳40人の実験では、眠った側の正答数が20.6%多かったと報告されています

10〜14歳の40人を、朝9時に学んで12時間後の夜にテストする群と、夜9時に学んで眠り、翌朝9時にテストする群に無作為に分けた実験は、耳で聞いた言葉の組の正答数が、眠った群で20.6%多かったと報告しています。比べるために行った作業記憶の課題の成績は、時刻や睡眠と関係しなかったとしています。

6〜12歳33人の実験では、意味のない語とパズルで眠ったあとに成績が上がりました

6〜12歳の子ども33人が、新しく作った意味のない語を覚える課題と、規則を見つけて解くパズルに取り組み、起きている時間と睡眠をはさむ時間をほぼ同じ長さにして比べた実験は、睡眠をはさんだあとは成績がそれぞれ14%と25%有意に上がり、起きていたあとには有意な変化がなかったと報告しています。一方で、睡眠の質や長さと課題の成績との関連は見られませんでした。

手の動きの技能では、子どもは眠った側の伸びが小さかったと報告されています

6〜8歳の子ども15人と大人15人を比べた実験は、言葉の組と物の位置を覚える課題では、睡眠をはさむと覚えている量がよく保たれ、その効果は子どもと大人で同じくらいだったと報告しています。一方、指で決まった順にキーを打つ技能の課題では、大人と逆に、子どもは起きていた場合より睡眠をはさんだ場合のほうが伸びが小さかったとしています。何を覚えるかで、結果の向きが分かれています。

睡眠時間の長さと記憶の関連は、メタ分析では有意ではありませんでした

5〜13歳の子どもの睡眠時間を機器で測った23の研究(うち19をメタ分析)をまとめた研究は、睡眠時間が長いほど認知の働きがよいという小さな関連(r = .06)を報告する一方、領域ごとに見ると、記憶との関連は有意ではなかったとしています。調べられた子どもの多くは推奨される睡眠時間に届いておらず、著者はより厳密な実験が要るとしています。これは、学んだあとに眠るかどうかを比べた研究ではありません。

この回答が参照した研究

研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。

研究 標本 この問いでの用い方
学んだ直後の睡眠も、時間をおいてからの睡眠も、起きている時間とは違い、子どもの言葉の記憶の定着を高めるJutta Backhaus、Ralf Hoeckesfeld、Jan Born、Fritz Hohagen、Klaus Junghanns(2008) 9〜12歳の子ども27人(同じ子どもが、夜に学んで朝と夕方にテストする条件と、朝に学んで夕方と翌朝にテストする条件の両方に参加) 9〜12歳27人で、覚えている量が増えたのは睡眠をはさんだあとだけだった実験
睡眠は記憶を高める:思春期の初めの長期の記憶への睡眠の効果Katya Trudeau Potkin、William E. Bunney Jr(2012) 10〜14歳の40人(睡眠をはさむ条件と、はさまない条件に無作為に割り当て) 10〜14歳40人で、眠った側の言葉の組の正答数が20.6%多かった実験
睡眠は子どもの記憶の定着を高めるAnna Ashworth、Catherine M. Hill、Annette Karmiloff-Smith、Dagmara Dimitriou(2014) 6〜12歳の子ども33人(睡眠を腕の計測器で記録し、起きている時間と睡眠をはさむ時間をほぼ同じ長さにして比べた) 6〜12歳33人で、眠ったあとに意味のない語とパズルの成績が上がった実験
子どもの睡眠は、言葉などを覚える課題の成績を高めるが、手の動きの技能の課題では高めないInes Wilhelm、Susanne Diekelmann、Jan Born(2008) 6〜8歳の子ども15人と大人15人(夜の睡眠をはさむ条件と、昼間に起きている条件を比べた) 6〜8歳の子どもで、言葉の記憶では睡眠の効果があり、手の技能では逆だった実験
子どもの認知の働きと、機器で測った睡眠時間:系統的レビューとメタ分析Michelle A. Short、Sarah Blunden、Gabrielle Rigney、Lisa Matricciani、Scott Coussens、Chelsea M. Reynolds、Barbara Galland(2018) 5〜13歳の子どもを対象に、睡眠時間を機器で測った23の研究(うち19をメタ分析。2016年12月までの文献) 5〜13歳の23研究で、睡眠時間と記憶の関連が有意でなかったメタ分析

この回答で分からないこと

限界
ここで紹介した実験は15〜40人の子どもを対象にしたもので、覚えたのは言葉の組や意味のない語、パズルなどの実験用の課題です。学校の教科の学習や成績は、確認した抄録には報告されていません。多くの実験では、眠る条件は夜に学び、起きている条件は朝に学ぶため、学ぶ時刻の違いも含まれます。同じ夜のうちで、寝る直前に勉強した場合とそれより前に勉強した場合を比べた研究は、この確認の範囲では見つかりませんでした。日本の子どもを対象と明記した研究もありません。この確認は研究の抄録の範囲で、個々の子どもに合う勉強の時間帯を判定しません。
出典の層
一次資料を確認した研究5件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。