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観測型FAQ研究

フリースクールなど学校外の学びの場に通うと、その後の進学や就労が良くなると、比べた研究で示されていますか?

回答の要約
今回確認した資料からは示されていません。不登校だった人のその後を追った国の調査や、経験者の振り返り、卒業生への聞き取りはありますが、通った人と通わなかった人を条件をそろえて比べ、通ったことの効果を取り出した日本の研究は確認できませんでした。

中学3年で不登校だった人の5年後は、進路を集計しています

文部科学省の追跡調査(平成26年公表)は、平成18年度に中学3年で不登校だった41,043人を対象に、20歳前後の本人へアンケートを行いました(回答1,604人)。回答者の高校進学率は85.1%、高校中退率は14.0%で、20歳時点で就学か就業をしている人は81.9%でした。中学3年当時に民間施設(フリースクールなど)を利用していたのは8.8%です。支援の種類ごとに、条件をそろえてその後を比べた分析ではありません。

18〜59歳の経験者調査は、振り返りの回答です

文部科学省の調査(令和7年)では、中学校卒業後について、人との関わりに苦労したという回答と、成長した・視野が広がったという回答が、ともに半数を超えました。回答者は調査会社に登録した人や支援団体経由で集められており、支援を受けた人と受けなかった人のその後を、条件をそろえて比べる設計ではありません。

卒業生の語りでは、大学進学を「成功」と意味づける一方、その意味づけが休学・退学などの背景にもなっていました

中国地方のフリースクール1施設の卒業生6名に聞き取りをした研究は、卒業生が大学進学を施設での経験を肯定する「成功」と意味づける一方、その意味づけが大学での過剰な適応や休学・退学の背景にもなっていたと報告しています。数量的な比較ではなく、他の施設や通わなかった人に当てはまるかは分かりません。

この回答が参照した研究

研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。

研究 標本 この問いでの用い方
「不登校に関する実態調査」~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~文部科学省 不登校生徒に関する追跡調査研究会(2014) 平成18年度に中学3年に在籍し不登校として計上された41,043人が対象。在籍中学校への調査28,388人分、本人への無記名アンケート1,604人(平成24年1〜3月、20歳前後)、インタビュー379人 中学3年で不登校だった人の5年後の進路の集計で、支援ごとの比較はない
「不登校経験者等を対象とする調査」~不登校・いじめ対策等の効果的な活用の推進に向けた調査研究報告書~有限責任監査法人トーマツ(文部科学省委託)(2025) 小・中学校で不登校を経験したと答えた18〜59歳。調査会社のパネルによるインターネット調査18,207人と、支援団体・自治体の協力によるオンライン調査321人(令和7年2〜3月)、ほかにインタビュー13人と支援団体4団体 経験者の振り返りで、支援の効果を取り出す設計ではない
フリースクールからの大学進学をめぐるジレンマ ―大学進学がもたらす光と影―藤村晃成(2018) 中国地方のNPO法人フリースクール1施設の卒業生6名へのインタビュー(2015年10月〜2017年3月)と施設でのフィールドワーク 1施設の卒業生6名の語りで、数量的な比較ではない

この回答で分からないこと

限界
通うかどうかは、子どもの状態、家庭の事情、地域にある施設、費用などで決まるため、通った人と通わなかった人をそのまま比べても、通ったことの効果とは区別できません。追跡調査の進路の割合は対象41,043人のうち回答した1,604人のもので、偏りがあり得ます。経験者調査は調査会社の登録者と支援団体経由の18〜59歳による、数十年前の経験を含む振り返りで、経験者全体の代表ではありません。卒業生への聞き取りは中国地方の1施設の6名の語りです。今回は日本語・英語の一次資料を限られた範囲で確認しており、海外のオルタナティブ教育の研究は対象にしていません。
出典の層
一次資料を確認した研究3件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。